年齢を重ねると、若い頃と同じメイクをしているのに「なぜか崩れやすい」「時間が経つと疲れて見える」と感じることはありませんか。実は、その原因は肌の変化によるものかもしれません。
30〜40代を過ぎると、肌の水分量や皮脂量が減少し、コラーゲンやエラスチンの働きも低下していきます。さらに乾燥や血行不良が重なり、ファンデーションが密着しにくくなったり、シワに入り込んだりといったメイクトラブルが起こりやすくなります。
本記事では、年齢肌が原因でメイクが崩れやすくなる理由や、対策方法を解説。「メイク直しの時間を少なくしたい」とお考えの方は、参考にしてみてください。
年齢と共に変わる肌には何がおきている?
30~40代になると、これまでとは違う肌の変化を感じる方は少なくありません。まずは、年齢と共に肌はどのように変わっているのかを解説しましょう。
ハリや弾力に関わる細胞の変化
肌のハリや弾力を支えているのは、真皮層に存在する「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」と呼ばれる細胞です。この細胞は、肌の土台を構成するコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸などを生成し、しなやかで弾むような肌を保つ役割を担っています。
ところが、年齢を重ねるにつれて線維芽細胞の数が減少し、その働きも徐々に低下していきます。その結果、コラーゲンの産生量が減り、肌の弾力が失われていくのです。
内側から支える力が弱まると、少しずつたるみやシワが目立ち、輪郭のゆるみといった変化が現れやすくなります。「若いころと比べると、顔がぼやけている気がする」と感じるのは、こうした変化が原因だと考えられます。
肌の防御機能が低下
人には、外部からの刺激から肌を守るバリア機能が備わっています。バリア機能には、次の3つの要素があります。
- 皮脂膜…各膜質の表面を覆っている、汗と皮脂からなる膜
- 天然保湿因子(NMF)…肌が作り出す天然のうるおい成分
- 細胞間脂質…角膜細胞のすき間を繋ぎとめて、水分を保持する
年齢を重ねた肌は、これらの機能が低下します。すると外部からの刺激に対して敏感になり、保湿力が低下して乾燥しやすくなります。皮脂分泌のバランスも乱れるため、赤み、かゆみ、過剰な皮脂といった肌トラブルが起こることも。
加えて、肌が自ら水分を保持する力も弱まるため、どれだけ保湿ケアをしても潤いが長く続きにくくなります。こうして肌は慢性的な乾燥状態となるうえ、ダメージの回復が追いつかず、さらに肌の調子を崩しやすくなってしまうのです。
ターンオーバーの乱れ
ターンオーバーとは、古い皮膚が剥がれ落ち、新しい皮膚が生まれるサイクルのことです。
肌のターンオーバーの周期が遅くなると、古い角質が肌表面にとどまり、ざらつきやくすみが目立つようになります。さらに、紫外線などによるダメージが十分に修復されないまま蓄積されていくことで、シミや深いシワの形成へとつながります。
また、ターンオーバーが乱れる原因は、加齢だけではありません。洗顔やクレンジング、睡眠、食生活、紫外線など、原因はさまざまです。日ごろから肌のケアを意識して、正常な臭気へ戻していくのが重要です。
年齢肌はメイクがとれやすいと感じる理由
年齢肌の悩みを抱えていると同時に、「10~20代と比べるとメイクがとれやすい」と感じている方は多くいらっしゃいます。ここでは、その理由を詳しく解説しましょう。
皮脂量の減少で乾燥が進んでいるから
肌は表皮・真皮・皮下脂肪の3層で構成されています。その中でも最も外側にある表皮の角質層には、ヒアルロン酸やセラミドといった保湿成分が存在し、さらに皮膚表面を覆う皮脂膜が水分の蒸発を防いでいます。
しかし、加齢とともに皮脂の分泌量が減少し、同時に角質層が薄くなることで、肌は外部の刺激や乾燥の影響を受けやすくなります。うるおいを守る力が低下するため、化粧下地やファンデーションが肌になじみにくくなり、時間が経つと粉吹き・ヨレ・浮きが発生。その結果、メイク全体が崩れやすくなるのです。
特に冬場や冷暖房の効いた室内など、湿度の低い環境ではこの傾向が強まり、メイク直後はきれいでも数時間後には崩れきてしまうことも。室内をきちんと保湿することが、きれいな状態をキープするポイントです。
シワや毛穴にファンデーションが溜まりやすいから
乾燥によって肌のハリや弾力が失われると、表情の動きに合わせて細かいシワができやすくなります。このとき、肌表面が滑らかでない状態のままメイクをすると、ファンデーションがその溝に入り込み、シワを強調してしまうことがあります。
とくに目元・口元・ほうれい線などの動きの多い部分は、ファンデーションが割れたり、溜まったりしやすいポイントです。メイクを重ねるほどに厚塗り感が出て、かえって老けた印象を与えてしまうこともあります。
つまり、シワが気になる世代ほどベースメイク前の保湿ケアが重要であり、肌を柔らかく整えることでファンデーションの密着度を高め、シワへの入り込みを防ぐことができます。
唇はもともと乾燥して縦ジワが目立つから
唇も肌と同様に加齢の影響を受けますが、構造的に皮脂腺や汗腺が存在しないため、もともと乾燥しやすい部位です。年齢とともに水分保持力が低下すると、唇表面の角質が硬くなり、縦ジワや皮むけが目立つようになります。
さらに、乾燥した状態でリップを塗ると、色素がシワの溝に入り込み、縦ジワをより強調してしまうことも。口紅の発色やツヤが悪くなるだけでなく、全体の印象まで疲れて見える原因になります。
リップメイクを美しく仕上げるには、日常的にリップバームやオイルで保湿を行い、寝る前の唇パックなどでコンディションを整えることが大切です。
年齢肌のメイクを崩れ対策

年齢肌を感じ始めていても、メイクをきれいな状態にキープする方法はあります。ここでは、メイクを崩れにくくする基本的な対策を解説しましょう。
スキンケアとベース作りが重要
メイクを崩れにくくするためには、まず肌をしっかりと保湿することが重要です。肌が乾燥した状態では、ファンデーションやチークなどが定着しにくくなります。セラミドやヒアルロン酸など保湿成分がたっぷり含まれたアイテムで、しっかりと保湿しましょう。
また、余分な油分があると、メイクが崩れやすくなります。下地を塗った後は、ティッシュやコットンなどでそっと肌をおさえて、肌に化粧品をなじませてください。
ファンデーションは厚塗りしないように
シミ、シワ、くすみなど気になる箇所を隠そうとすると、ついファンデーションが厚くなりがちです。しかし、適量よりも多く塗ってしまうと、シワや毛穴などに粉が落ち込み、かえってメイクが崩れる原因になります。
ファンデーションを使うときは、カバーしたい部位を中心に、スポンジで薄く均一になじませるのが基本です。肌の気になる箇所をカバーするときは、コンシーラーを少量だけ使ったり、パウダーでテカリをおさえたりすると良いでしょう。
時間が経つにつれてファンデーションが崩れていくなら、仕上げにミスト状の化粧水をひと吹きするのもおすすめ。肌にしっかりとメイクを定着させてくれるだけでなく、肌にうるおいを与えて、皮脂の過剰分泌を防いでくれます。
ポイントメイクを工夫する
特にメイクが崩れやすいのは、目元や口元などの部位です。こうした箇所には、次のような方法がおすすめです。
- 目元…ファンデーションを塗ったあとはティッシュやコットンでオフし、フェイスパウダーで油分を抑える
- 唇…唇をリップクリームやバームなどで保湿してから、口紅を塗る
- 眉…汗や皮脂に強いアイブロウ用品で1本ずつ足していくと、自然に仕上がるうえ落ちにくくなる
肌の状態は、年齢によって変化していくものです。これまでの化粧品では合わなくなったと感じたら、原因に合わせた製品に買い替えるのも一案です。
年齢肌のメイク崩れを防ぐ習慣
メイク崩れを防ぐためには、メイク方法だけでなく習慣づけておきたいことがあります。ここでは、実践しやすい方法を順番に解説しましょう。
水分をしっかりと摂る
メイクが崩れる大きな原因の一つが、肌の乾燥です。外から水分を補うだけでなく、体の内側からも水分を補給するのが重要です。
成人女性の場合、1日の水分補給の目安は約2~2.5Lです。食事から1Lほどは補給できるため、そのほかに1Lは意識して水分をとると良いでしょう。
なお、人の体は一度にたくさんの飲んでも体内に蓄えることができません。起床時・食事中・就寝前など、回数を分けてこまめに飲むよう意識してみてください。
部屋が乾燥しないように心がける
どれほど丁寧に保湿ケアを行っても、部屋の空気が乾燥していると肌から水分が逃げてしまい、うるおいを保つことが難しくなります。特に冬場やエアコンを使用する季節は、空気中の水分量が減少し、肌の乾燥を加速させる要因となります。
快適に過ごせる湿度の目安は40〜60%程度といわれており、この範囲を保つことで肌の乾燥を防ぎやすくなります。湿度が下がっていると感じたときは、湿度計で確認しながら加湿器を使用するのが効果的です。
また、手軽な方法として、濡れたタオルや洗濯物を部屋に干すのもおすすめです。空気に適度な湿り気を与えることで、肌の水分蒸発を抑え、日中の乾燥崩れやかゆみを防ぐことができます。室内環境を整えることは、美しい肌を保つための基本ケアのひとつです。
帰宅後はすぐにメイクをオフする
メイクを長時間つけたままにしておくと、酸化した皮脂やメイク汚れが毛穴に詰まり、黒ずみや吹き出物などの肌トラブルを引き起こす原因になります。特にファンデーションやUVカット成分は毛穴に残りやすく、放置すると肌のくすみやごわつきにもつながります。
そのため、帰宅後はできるだけ早めにメイクを落とし、肌を清潔な状態に戻すことが大切です。クレンジングでは、肌への刺激をなるべく軽減するため、こすらず優しくなじませるのもポイントです。
なお、クレンジング後の肌は、刺激を受けやすいナイーブな状態にあります。そのまま放置せず、すぐに化粧水や乳液で水分と油分を補いましょう。特に乾燥しやすい目元や口元は重ねづけを意識して、うるおいの膜をしっかり守ることが重要です。
まとめ
本記事では、年齢肌によってメイク崩れが起きやすくなる理由や対策について解説しました。
年齢を重ねると、肌の内部構造や機能そのものが変化していきます。たとえば、肌のハリや弾力が失われたり、バリア機能の低下によって乾燥や皮脂バランスの乱れが起こりやすくなったりします。さらに、ターンオーバーのサイクルが遅れることで古い角質が残り、くすみやごわつきが生じるなど、肌トラブルが重なってメイクのノリが悪くなることも。
年齢肌によるメイク崩れは単なる「化粧品の問題」ではなく、肌そのもののコンディション低下が根本的な原因です。解決のためには、スキンケア・生活習慣・環境管理を総合的に見直すことが大切です。日々のケアと意識を積み重ねて、崩れにくく上品なメイクを目指しましょう。